吉 根 の 家


08.06.16


新しい現場が始まります。
施主は仕事仲間の宮島くんです。
お互い気心も知れた仲なので
設計も大変スムーズに進みました。

近々、二人目のお子さんも生まれ、
宮島夫妻にとって大変大切な年になりそうです。
微力ながらそれに関われることはとても光栄なことです。

期待以上のものを作るためにこれからが本番です。


08.07.03


先日、木の伐採を桜井くんにお願いし、
今日は明日から始まる土工事の打合せです。
今回も斜面ですが、比較的仕事がしやすい
敷地なのでそれほど問題はなさそうです。


08.07.05


昨日から掘り始めました。
基礎工事の前に地盤改良工事をするための
地盤の成形をしています。

写真ではやけに高低差があるようですが、
それほどではありません。

土の質もいいので工事は順調に進んでいます。
今日中に大型ダンプで10杯くらい搬出する予定です。

来週火曜日から地盤改良工事が始まります。


08.07.10


土質も良好なので順調に地盤改良工事も進み、
どうやら今日で終わりそうです。

今回の職人さんは、この道のスペシャリストで
難しい条件の現場などに来る職人さんです。

かねてから土と格闘するこの仕事は二度と同じ条件の
土はないので難しいのだろうと想像はしていたの
ですが、彼の話によるとそれは予想以上でした。

一人前になるまで他の職種の職人の
倍以上は時間がかかるようです。

陶芸と同じように土仕事は、
奥が深すぎて言葉では言い尽くせません。

いずれにしてもプライドのある職人は仕事を見てても
気持ちいいし信頼できることに間違いはありません。


08.07.15


予定通り昨日、捨てコン打をして
今日は墨出しです。
スタッフの加藤くんと平山くんで
高さと距離が一度で測れる
高度な測量機で測量をしています。

今週中に基礎の鉄筋まで終わる予定です。


08.07.18


昨日から基礎配筋をしています。
一気に上階の基礎配筋も
組む予定なので来週中頃までかかる予定です。


08.07.23


基礎配筋も順調に進み、
今日は地下部分の浴室などの配管を
矢野さんが一日行いました。

基礎のコン打ちは明後日です。


08.07.25


今日は午後から基礎コン打です。
天気がよすぎて、
すぐに硬くなってしまうので大変です。
コールドジョイントを防ぐため
途中水を撒きながらコン打をしました。


08.08.06


大工さんの都合で1週間ほど
現場は進んでいませんでした。

今日から再び本格的に再開です。
矢野さんとタカワ電気さん、大工さんが入り
職人さんが計5人で狭いところで
仕事をしているので、余計に暑いです。
熱中症にならないように気をつけてほしいです。

それぞれの位置を再度確認して現場を後にしました。


08.08.19


今日は電気や給排水設備の配管です。
図面と照らし合わせ、現場で
ベストな位置を指示します。

やはり毎回のことですが、現場で確認しないと
なかなか納得できる位置は出ないものです。

階段も通常よりもゆったりとしていて
なかなか出来上がりが楽しみです。


08.08.21


今日は予定通り、コンクリート打を行いました。
およそ50M3近くを午前中に打ち終わりました。
今回はあえて壁厚を厚くしているので
コンクリート打もスムーズにいきました。


08.09.01


室内側の壁の型枠を伏せています。
天気がよければ、明日中には
天井の型枠もできると思います。
今週中には床の鉄筋や設備の配管なども終える予定です。
来週早々に次回のコンクリート打の予定です。


08.09.09


今日は予定通りコンクリート打です。
今回は構造もシンプルなのですが、
何よりも壁の厚さが30cmもあるので
難しい部分はほとんどありませんが、
打継ぎ部分のジャンカだけは出さないように
再振動やたたきなどを十分にするように指示しました。


昨日は、矢野さんやタカワさんが
仕事をし、配管などを敷設しました。


08.09.13


型枠を外す日になりました。
毎回この時は、少し緊張します。
でもRC造の醍醐味でもあります。
人事は尽くしたのですが、
出来上がりは、まさしく神のみぞ知る。
といった感じです。
これは陶芸とよく似たところがあります。
いくら形を作って釉薬を塗っても
釜から出てくるまでその出来はわかりません。
RC造は作り手にとってはそんな楽しみがある建物です。


08.09.17


打設後、打継ぎのレイタンスの除去や
型枠を外した壁面にコンクリート改質剤を塗布し、
急激な乾燥を防ぐためにビニールシートで
全面にラップをしたり、やらなければ
いけない仕事はたくさんありました。
それらも順調に進み、昨日から
壁の鉄筋工事が始まり、今日で終える予定です。
ある程度建物のボリュームと空間のスケールが
想像できる段階に来て、あらためて間違いはなかった
と確信できた日でもありました。


08.09.27



現場も順調に進み昨日から
屋根の鉄筋工事に入っています。
それも今日で終わります。

内部では、型枠大工さんが
コンクリート打に向けて
支保工を行っています。

ほぼ建物の全容も現れて
外観内部とも寸法的なボリュームは
イメージ通りに出来ているようなのでひと安心。

当たり前に思うかもしれませんが、
図面に表した寸法が、実際のイメージと重なるように
設計するのはとても難しいことです。
同業者ならわかって頂けるのではないでしょうか。

これも最近は、ほとんど間違えることがないので
自分でもなんだか不思議な感じがしています。
これも経験なんでしょうか。
自分でもいまいち良くわかりません。

ただ形や寸法などのバランスは、生まれ持ったもの
で経験や勉強で身に付くものではないと聞いたこと
があります。

これ以上削りようのない家型の原型を求めて設計し
ました。おそらくこの家は、世界中のどこにでもよ
く似たものが必ず存在する形だと思います。

だから千年後も古くならない形だと思います。


08.10.2



雨で二日ほど延びて、今日コンクリート打になりまし
た。躯体は最後のコンクリートです。

今回も「幡豆の家」と同様に
屋根の仕上げもコンクリートです。
前回ほど屋根の勾配がないので
難しくはありませんが、
何せ勾配があることには違いないので
普通のスラブを打つよりは大変です。

朝から打ち始め、昼には打ち終えました。
今回も前回お世話になった職人さんに
仕上げをお願いしました。

夕方、仕上げの確認に行きました。
どうにか暗くなるまでには仕上がりそうでした。

週明けには型枠をばらします。
楽しみです!


08.10.23



前回の更新から時間が空きました。
コン打から養生期間を置き、
テストピースの破壊試験の確認をして
今週型枠のばらしを始め、
今日はサッシの取付です。
今後は毎日のようにいろいろな職人が入り、
速やかに進んで行くと思います。

サッシは作る職人と現場で取付ける職人は違います。
作る職人は、以前にも紹介した愛功製作所の
丸山さんを始め、ベテランの職人さんたちです。
私のわがままで毎回フルオーダーで全く違うサッシ
なので苦労して作って頂いています。
でもなんだか楽しんでやって頂いているのが
せめてもの救いです。

養生期間中にも工場に出向き、直接打合せをして
多少の変更の後に今日現場に運び、取付け職人の
後藤さんらに取付けてもらっています。

明日明後日は、床暖房の工事です。
毎回お願いしているタフさんです。


08.10.25


今回の床暖房は、タフの藤田くんの提案で
新しいシステムを採用しました。電気代が
安い深夜電力を利用して
床のコンクリートに蓄熱するのは同じですが、
その熱源が従来は電熱線によるものでしたが、
今回はヒートポンプで暖めたお湯が熱源になります。
工事額は倍になりますが、ランニングコストが
半分近くになります。
また将来、より効率の良いシステムが出た場合にも
対応できる可能性が高いので採用することにしまし
た。


08.10.29


今日は土間コンクリート打です。
午前10時頃までには打ち終わりました。
が、夏とは違い仕上げの金コテ押さえをするまでには
かなりの時間がかかりそうです。

仕上がりはおそらく、日をまたいで
深夜になってしまうと思います。
仕事とはいえ、左官の長谷川さんには頭が下がります。


08.11.04



今日は手摺の取付です。
今回も松井さんにお願いしました。

見えないとこらろまで小技がきいていて
いつも感心させられます。

現場でも厳しく楽しくやっている姿勢に
あらためて見習いたいと思います。

このようにひとつひとつの部分に
丹誠込めたものが施されることが
見た目では伝わらない本物の建築を
生み出すための欠かせない要素です。


08.11.07


今日は外壁の下地処理をしています。

今回は、内外漆喰塗りなのですが内壁は今回も松田
くんにお願いしてプロの技で仕上げてもらうのです
が、外壁はうちと宮島くんのスタッフみんなで塗ろ
うと思っています。

どうなるかは、神のみぞ知るということですが、と
にかく宮島くんとは、楽しんで塗ろうという話をし
ています。

ボクも宮地島くんも自然素材に対しての信頼は厚い
ので、失敗はないと思っています。

大切なことは”楽しむこと”
それが必ず良い結果を生み出すと思っています。

自然の素材というのは、我々のちっぽけな
イメージをはるかに超えて、新しい発見と歓びを
与えてくれることを十分に知っています。

また、人事を尽くす必要性も知っているので
その準備は、今着々と進めています。


08.11.08


内部では、大工工事が始まっています。
といっても床貼りくらいしかないのですが、
今回も浅井くんにお願いしています。

写真右に見える立っている木は、
貼り終えたフローリングを
押さえるためのつっかえ棒です。


08.11.12


大工工事も順調に進み、
今日は矢野さんが壁内の配管工事に来ました。
この家で唯一の木壁です。
コンクリート壁に打ち込むことを思えば大分気が
楽です。


08.11.14


左官工事が本格的に始まりました。
これは、打継ぎの目地をガラスクロスを使って
ボンドで消しているところです。

これは前のクリニックの現場で
とても有効だったので今回も採用しました。

コンクリートに直に漆喰を塗る場合、
必ず打ち継ぎ目時が入ってしまうのですが、
この工法を考え出してからは、
ひとつ可能性が広がったと思います。


08.11.18


昨日から外壁の漆喰を塗り始めました。
先日から下地処理、下塗りなどのさまざまな
工程を終えて、塗り始めました。

予想通りというか、それを超えているといった方が
的確かもしれませんが、やはり、自然素材の代表的
な漆喰はいい表情を出してくれます。

プロ(左官)がやってもすばらしい仕上げになりま
すが、我々素人がやってもそれなりの仕上げが出来
上がります。

我々素人(スタッフ)が施工するのに大切なことは、
中途半端に頭を使わないこと。
小手先の技術に走り、嫌らしくなるばかりだから。

誠心誠意一生懸命無心にやれば必ず答えてくれます。
そして何よりも”楽しむこと”
そうすれば漆喰も楽しそうな”顔”をしてくれます。

金曜日には宮島くんのスタッフも来て
漆喰塗りを手伝ってくれます。
それまでに下地の準備をします。


08.11.21



今日は宮島くんのスタッフとともに
壁塗りをしました。
内のスタッフと合わせると
総勢10人ほどになります。

みんな始めてなので、相談しながら試行錯誤を繰り
返し日没までにはどうにか塗り終えることが出来ま
した。

やっぱり漆喰は簡単で難しい。
でも楽しく終えることが出来ました。

同時に室内では、左官が"プロの仕事"を披露してい
ます。外壁は"素人の遊び"をしています。
そのコラボレーションが、この家のひとつの見所で
す。

プロにはプロの仕事。
素人には素人でしか出来ない仕事。

お互い本当にいい味を出して
よりいっそう深みのあるものができることを信じて
います。


08.11.29




先日の外壁塗りの少し前から
室内では左官の松田くんたち4、5人で
ずっと漆喰を塗っています。
下地処理から仕上げまで
およそ4つの工程は、
大変手間と時間がかかる仕事です。
気温が低いのでなかなか乾かずに
ヒーターを焚きながら、悪戦苦闘しています。

まだ来週いっぱいかかりそうです。

外は、先日足場も外れ今日は埋め戻しをしています。
いよいよ工事も終盤に差し掛かってきました。

建物の裏では、矢野さんが便槽を設置しています。
下まで重機が下りれなかったので
手彫りで1m以上掘りました。
ご苦労様です。


08.12.04



左官仕事も佳境に入り、今週中には目処がたちそう
です。今日は、最大の見せ場の階段の壁面です。
4人で一気に仕上げています。
継目のない大壁面は迫力があり、
出来映えがとても楽しみです。

外では矢野さんが、配管の敷設をしています。
先日埋め戻した部分を再度掘り、
地固めをしつつ配管を設置していきます。
大変重労働ですが、住宅の機能を
正常に保つには重要な仕事です。


08.12.12




今週始めから桜井くんたちが
外構をやり始め、土留めや路盤整備を終え
一昨日から砕石貼りを始めました。

これは今年始め私が提案して自宅で実験し、
数回の改良を繰り返し、
今ではすっかりノウハウを掴み、
桜井くんオリジナルの路盤を作り上げました。

今回もそれをお願いしました。

少し手間はかかりますが、材料費が安く
思いのほか廉価で出来上がります。

それよりも不揃いの砕石が
ていねいに敷かれている景色は、
飽きのこない優れた仕事です。

その他にも今日は、残りの外壁を塗りました。
施主の宮島くんにも再度参加してもらいました。

すっかり要領を覚えてくれたので
自分でメンテナンスが出来ると思います。
そういうことはとても大切なことです。
宮島くん自身も喜んでくれました。


08.12.22

先日、無事オープンハウスも終了し、100人を超える方々に私の仕事を
見て頂きました。そして、今日無事引渡しとなりました。今回はいつも一
緒に仕事をしている宮島くんの家ということで、気心も知れていたので、
すべてがとてもスムーズに進みました。千年前にもあったであろう家。そ
して、千年後もあるであろう家をめざして作ってきました。遠からずその
答えに近づいたのではないかと思っています。今後もその答えを求めなが
    ら、建築づくりをしていくことをあらためて再確認することが出来ました。
 シンプルに!シンプルに!シンプルに! 長い間ありがとうございました。